営業に「商品カタログ」はない。総務が明かす、転勤の無い地場ゼネコン最強の営業マンは「現場監督」であるという真実

現場監督の「真の価値・営業力」

「営業が取ってきた仕事を、ただ言われた通りに建てるだけ」 今の職場で、そんな風に自分を「ただの作業員」のように感じていませんか?

もしあなたが、規格化された住宅メーカーや、営業の権力が絶対的な会社で働いているなら、無理もありません。しかし、「転勤の無い建築地場ゼネコン」の世界は、それとは全く異質なものです。

20年以上、地場ゼネコンの総務・人事として、そしてかつては営業の最前線に立ってきた私から、今回は「地場ゼネコンにおける、現場監督と営業の本当の関係性」についてお話しします。

これを読めば、あなたが本来持っている「現場監督という仕事の本当の価値」に気づくはずです。

身の程を知る。転勤の無い地場ゼネコンの「リアルな受注規模」と資金繰り

まず、大前提として知っておいてほしい「お金」と「規模」のリアルがあります。

地域トップクラスで、かつ「転勤が無い」ことを維持できる地場ゼネコンの年間完成工事高は、おおよそ数十億円から100億円規模の世界です。これ以上規模を拡大しようとすれば、近県や都会への支店展開が避けられず、「転勤ゼロ」という最大の魅力が崩れてしまいます。

請け負う個々の建築一式工事は、数千万円の住宅から、10数億円規模の公共・民間施設まで様々です。

ではなぜ、100億円を超えるような超大型案件を単独で狙わないのか? 狙わないのではなく、狙えないのです。そこには「資金繰り(キャッシュフロー)」という物理的な問題があります。

元請けが発注者から集金できるのは、基本的に「完成後の後払い」です。しかし、下請けの施工業者や職人さんたちには、工事の進捗に合わせて「できた分ずつ先行支払い」をしなければなりません。 もし自社のキャパシティを超える超大型案件を抱えれば、発注者から集金する前に、膨大な先行支払いで会社の体力がもちません。

だからこそ、優良な地場ゼネコンの営業は、会社の体力と技術者体制を見極めた「身の程をわきまえた営業活動」を徹底しているのです。

「商品カタログ」が力を持つメーカー、「信頼」が命のゼネコン

住宅メーカーのような規格・定型型の建設会社では、会社が商品開発を行い、立派な住宅展示場とカタログを用意します。 そこでは、お客様のどんな質問にもカタログを見ずに即答し、ローン対応まで完璧にこなして契約を結ぶ「優秀な営業担当者」の権力が絶大です。施工管理技術者は、すべての部位の納まりに至るまで確定済みの洗練されたマニュアルに従って、想定された工程通りに早く建てることが当然として求められます。極端に言えば、現場監督は「営業のサポート役」になりがちです。

しかし、地場ゼネコンの営業には、売り歩く「商品カタログ」がありません。

私たちが建てるのは、公共も民間も、病院、学校、コミュニティ施設、工場、店舗など、お客様の夢と建築家のアイデアが詰まった「世界に一つだけのオリジナル建築」がほとんどです。 決まった商品を売るのではなく、「この会社なら、私たちの夢を形にしてくれる」という発注者や設計者との深い信頼関係を築き上げ、維持していくことが、営業の最大の仕事になります。

逃げ場のない地域密着。最強のトップセールスは「現場監督」だ

では、その「会社の信頼」とは一体何でできているのでしょうか? 社長が築いてきた人脈によるトップセールスもたいへん重要ですが、決定的なのは「これまで地域に残してきた実績(建物の品質)」です。

転勤がなく、ずっとその地域で仕事をするということは、「決して逃げようがない」ということです。 そしてここが一番重要なのですが、会社としての評判とは、現場を仕切る「現場監督たちの評判」そのものなのです。

「あの監督は近隣への配慮が素晴らしい」 「あの監督の現場は、職人が気持ちよく動いている」 「逆に、あの監督にだけは任せられない」

同じ地域のプロの職人たちも、厳しい目を持つ建築家たちも、現場監督の力量と人間性をしっかりと記憶に刻んでいます。 そして次の仕事が動くとき、「〇〇監督が担当してくれるなら、おたくに発注するよ」と、現場監督の存在そのものが「発注条件(特命受注)」になることが実際にあります。

つまり、地場ゼネコンにおける最強の営業マンは、スーツを着て頭を下げる営業担当ではなく、ヘルメットをかぶって現場を収める「現場監督」なのです。

まとめ:会社と現場監督は「車の両輪」である

地場ゼネコンには、営業担当が設計事務所を訪問して取ってくる情報だけでなく、銀行や知人筋など、あらゆるルートから建築情報が入ってきます。会社は、その一つ一つが自社の状況にマッチングできるのかをきちんと峻別していかなくてはいけません。

その情報の中には、「〇〇監督が現場を綺麗に収めてくれたから、次のお客様を紹介してもらえた」という、この上なく有難い案件も含まれています。

地場ゼネコンの営業担当が新しい情報をいただけるのは、それまで会社が「ワンチーム」として実績を積み重ねてきたからです。経営者、営業部門、積算見積部門、設計部門、そして現場施工を司る工事部門。その総力戦であって、決して営業マン単独では成り立たない世界なのです。 会社と現場監督は、まさに「車の両輪」のような関係にあります。

公共工事の入札では、事前に「配置予定技術者」の名前を出さなければなりません。会社は、あなたの名前を「会社の看板」として入札に挑むのです。

マニュアル通りにカタログの商品を組み立てる仕事に、やりがいを感じられなくなっていませんか? 誰が取ってきたか分からない巨大な図面の、ほんの一部だけを担当する日々に、虚しさを覚えていませんか?

あなたのその技術と経験は、地場ゼネコンに来れば「会社の顔」となり、次の仕事を生み出す最強の武器になります。もし、自分の力で「世界に一つの建築」をゼロから創り上げ、地域に名前を刻むような仕事がしたいなら、ぜひ地場ゼネコンという舞台に飛び込んできてください。

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